打ち合わせで混乱しないための、コピーの種類と呼称

プロでもゴッチャゴチャになるコピーの種類

キャッチフレーズ、タグライン、ヘッドライン、見出し、ボディ…広告や販促物の制作の打ち合わせをしていると、こんな言葉が頻出します。大まかには意味はわかるのですが、例えば「キャッチフレーズとキャッチコピーって、違うの?」「ヘッドラインってよく言っちゃうけど、何のこと?」みたいな疑問は頻繁に感じるはず。でも実際はそれらが放置されたり、その場の雰囲気で流されてしまったり…ということは多いようです。そこで、宣伝会議『最新約コピーバイブル』を参考に、整理してみました。ま、整理しただけで人によっては異論を唱えるでしょうし、定義とまでは言い切れないのですが。

コピーの種類

キャッチフレーズ/キャッチコピー文字通り、広告においてターゲットの目を「キャッチ」して「面白そう」「読んでみよう」「ほしい」といった感情を想起させるためのフレーズ。
広告では興味喚起に使われることが大半ですが、近年ネット通販などで増えているセールスコピー/ダイレクトコピー系では、「悩みに訴えかける」「インサイトに訴えかける」といった役割を担うことが増えていると感じています。

人によってキャッチフレーズと呼んだりキャッチコピーと言ってみたり「キャッチ」と略したり…と二つの用語が同じ意味で使われているようですが、広告・コピーライティングをきっちり学んだことがある人は「キャッチフレーズ」を使う傾向があるように感じています。この業界に慣れている人は「キャッチ」と略称を使うことが多いですね。
スローガン企業やブランドの、「私たちは、ビジネスを通じてこんな価値を提供しますよ」消費者に対する約束事や宣言をするためのコピー。ただし、消費者に向けられるメッセージというよりは、企業/ブランド自身が自らを定義付けし、方向づけし、自らを鼓舞するために用いられるために使うことが多いようです。
キャンペーンスローガン複数のメディアを組み合わせて同時展開する「広告キャンペーン」における、世界観を統一するためのショートフレーズは「キャンペーンスローガン」と呼ばれます。
タグライン①ブランドが約束する価値を要約して説明するものです。スローガンと非常に近い役割、というか、ほとんど一緒だと思います。特にブランディングの領域においては、「タグライン」という言葉のほうが好んで使われる傾向があるようです。「スローガン」には政治的・啓発的・押し付け的なニオイがつきまとうからかもしれません。

②新聞広告や雑誌広告などのグラフィック系広告における、紙面の下部に配置して広告全体に「締まり」の感覚や、伝えたいメッセージの「念押し・ダメ押し」をする役割を担うコピーもタグラインと呼ばれることがあります。
サブキャッチ文字通り、キャッチフレーズのサブであり、内容を補完するためのコピー。ヘッドラインやリードコピーより簡潔。人によっては「おさえコピー」なんて呼ぶ場合も。
ヘッドラインキャッチフレーズだけではターゲットに意味・意図が伝わりにくい場合に、補足的な意味で使うコピー。ビジュアルや商品詳細の説明につなげるための導火線的な役割。
意味・役割・機能はリードコピーとかなり近いと思います。
ボトムラインキャッチフレーズや広告全体の意味・情報の補完を担う点はヘッドラインと同じですが、広告の下部に配置される場合は「ボトムライン」と呼ばれます。
ボトムラインとタグライン②は、かなり役割が近いと思いますが、ボトムラインのほうが「情報伝達機能」の意味合いがより強いようです。
リードコピーキャッチフレーズの内容を膨らませ、商品情報との橋渡しになるコピー。英語では“lead copy”なので、商品情報に先立つ情報を伝えるという役割があります。
ヘッドラインはキャッチフレーズ寄り、リードコピーは商品情報寄り、と言えるかもしれません。
ボディコピー商品情報を伝えるための中長文のことであり、広告の根幹をなす部分。直訳すれば「体のコピー」ですが、「体幹」と把握するといいかもしれません。
キャッチフレーズは、極論すると素人でも書けます。しかし、その企業やブランドをきちんと主語に設定できて、興味を抱かせ、きちんと読ませることのできる素人は、ほとんどいません。コピーライターの力量が最も問われる部分です。
見出しボディコピーをわかりやすく読ませるための見出し。要約という役割だけでなく、ボディコピーを読ませるための興味喚起の仕掛けにすることもあります。大見出し、中見出し、小見出しの3種類。Webデザインをやっている方なら、H1〜H6の概念のうち、H3〜5くらいに相当すると考えるとわかりやすかも。ちなみに、H1がキャッチフレーズなら、H2はサブキャッチやヘッドライン、そしてH3以下が見出しという感じです。
スペック商品の価格や機能をわかりやすく整理した情報。特に通販カタログやECでは、これをいかにわかりやすくするかが重要になります。
ネーミング商品の名称。この良し悪しで商品の売れ行きが大きく左右されることも。最近はユーモア系・造語系よりも「機能をストレートに短くまとめる」という方向が好まれているようです。
商標登録という制約があるため、注意が必要です。

上手に使いこなすと、広告の「構造・構成」が見えてくる!

コピーの種類が把握できるようになると、どの部分がどんな役割を担っているのかがわかりやすくなります。この視点から他社が作成した広告を分析すると、とても勉強になる! 当社代表のコピーライター・五十畑は独立したてのころ、1年以上にわたり、新聞広告や雑誌広告を探してきてはそれをデザインごと手書きで模写するという訓練をつづけていました。この経験、広告や販促の概念が大きく変わった今も、しっかり役立っています。そしてこれは習慣化し、今では模写こそしないものの、広告の収集はいまだに続けています。

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